男性不妊症とは

正常な夫婦生活を送っているにもかかわらず2年以上妊娠できないカップルのことを不妊症といいます。このなかで男性側に原因があるものを男性不妊症と呼びます。

当クリニックでは、乳歯歯髄幹細胞の出すエクソソームによる男性不妊治療の臨床研究を実費で行っております。

男性不妊症の診断

診断は問診から始まり身体所見(精巣容積測定など)、ホルモン検査、陰嚢超音波検査、染色体検査と順を追って進められますが、その中心となるのは精液検査です。精液中に精子を認めない無精子症、精子濃度が15×10⁶/ml未満の乏精子症、精子運動率が40%未満の無力精子症、精液量が1.5ml未満の乏精液症などが診断されます。これを下回ると、妊娠する確率が下がっているということになります。

男性不妊症の原因

不妊の原因には、男性に原因があるもの、女性に原因があるもの、両者に原因があるものがあり、不妊の40~50%は男性側が関与しているものが占めているといわれています。男性不妊の原因のうち約80%は、精子が正常に作ることができない造精機能障害によるもので、精巣の中で運動性が良好な精子をつくる機能が低下していると考えられています。

・造精機能障害
精子がいない、精子の数が少ない、精子の運動性が悪い、奇形の精子が多い等
・性機能障害
勃起しない、勃起しても射精しない、膣内に射精できない等
・精路通過障害
精巣で精子が作られているのに精液に混じり、射精するまでの経路に異常がある

造精機能障害とは

精巣(睾丸)の機能異常により精子を作り出せない状態のことをいいます。

a. 先天性造精機能障害
造精機能障害の多くは先天的です。精子がまったくいない無精子症の原因となる染色体異常の代表的な疾患に、クラインフェルター症候群があげられます。正常男性の性染色体はXYの2本なのですが、クラインフェルター症候群ではXXYとX染色体が1本多くなっています。また、無精子症の患者様にはY染色体の一部分(AZF領域)が欠失している場合が10~20%見つかります。
b. 精索静脈瘤
精巣上部に流れる精索静脈の異常肥大のことです。正常男性の15%、男性不妊症の患者様の40%にみられます。精索静脈瘤があると、お腹から逆流した温かい血液が精巣(睾丸)の温度を上昇させ、精子を作る働きに悪影響をおよぼすと考えられています。
c. 停留精巣(睾丸)、精巣炎
停留精巣、成人になってからのによる精巣炎などにより精子数や運動性が低下する場合があります。
d. 精巣がん・精巣腫瘍、抗がん薬や放射線治療によるもの
精巣がん・精巣腫瘍でも不妊症になるため、注意が必要です。さらに白血病や悪性リンパ腫などのがんで、放射線や抗がん薬の治療を受けると精子数が低下したり無精子症になったりすることがあります。
e. 下垂体疾患
脳の中にある下垂体というホルモンを産生する臓器の疾患などにより精巣を刺激する下垂体ホルモン(黄体化ホルモン:LH、卵胞刺激ホルモン:FSH)が分泌されない場合、不妊症となります。

男性不妊症の検査

精液検査
検査は完全予約制であり、クリニックでの精液採取だけでなくより、落ち着いた環境での採取のために自宅で採取して持参頂くことも可能です。(持参の場合30分~60分以内にお持ちください)自宅採取のための検体保存容器は事前にお渡しもしくは郵送(実費)でお送り致しております。検査はおおむね15分~20分で完了します。

精液検査では、精液量、精子濃度、運動率、正常形態率などを調べ、WHO(世界保健機関)の正常精液の下限基準値と比較しています。1mlの精液の中に存在する精子の数を精子濃度といい、 その中で前進運動をしている精子の濃度を前進運動精子濃度と呼び、SMI(精子運動性指数)測定に最も深く関与しています。一般的にSMI 80(以上で良好)を基準値として定めています。

SMI前進運動精子濃度 (×10⁶/ml)精子濃度 (10/ml)前進運動率
下限基準値804.81532%

SGFでの男性不妊治療

精巣へ注射でSGF(乳歯歯髄幹細胞培養液)投与をします。

期待される効果

SGF(乳歯歯髄幹細胞培養液)を精巣へ注射で投与することで、細胞修復、精子の活性化、精液量の増加、テストステロンを高める、SMI(精子運動性指数)を高める等の効果が期待できます。また、精巣に関わらず、体内の内皮細胞の再生も促すため、生活習慣病の予防も期待できます。

当院の症例

精子の質を向上させる睾丸注射

外泌体を睾丸に直接注射することで、精子の数や運動率が向上することが確認されています。さらに、勃起機能や男性機能の改善効果も期待できます。
従来のテストステロン補充療法とは異なり、人工物質ではなく天然由来の治療法であり、根本的な解決を目指す治療です。

症例1:58歳男性

2021年2月4日:精子濃度 5.2万/ml、精子運動率指数(SMI) 0
2020年12月~2021年3月:10回の睾丸注射
2021年3月27日:精子濃度 101.3万/ml、SMI 82
2022年1月22日:精子濃度 215.3万/ml、SMI 35

症例2:32歳男性

2024年8月22日:精子運動率指数(SMI) 0.7
2024年8月~10月:4回の睾丸注射
2021年3月27日:精子運動率指数(SMI) 24.85